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シソーラスの秘密

(2018-12-29)
英語圏で頻繁に使われる英語の辞書といえば、
英英辞典とシソーラスです。
今回はシソーラスについて、
体験を交えつつ、
私の考えを書いてみます。









私がシソーラス (Thesaurus) という辞書のことを知ったのは、
1978年です。
きっかけは、
私が英語の劣等生から脱皮する上で最も大きな転換点になった松本享の著書『英語の新しい学び方』です。
この本には、
英英辞典の薦めとともに、
シソーラスという同意語・反意語辞典も紹介されていました。
ただし、
松本はシソーラスのことを、
意味の方から単語を引く辞書
という風に説明しており、
この「意味」の方からという考え方が
[私は]理解できていませんでした。
英単語の数だけ意味もあるのだと思っていました。
それでもとにかく、
新宿駅東口の近くにある紀伊国屋書店の洋書売り場で、
小さめのペーパーバック版シソーラスを買い、
ときどき眺めたりする様になりました。

ところが、
それから数週間も経たない頃、
読んでいた英字新聞の中で、
シソーラスに対して否定的なニュアンスの文章に出会いました。
Asahi WeeklyMainichi Weekly か思い出せないのですが、
日本の英語学習者を対象にしたタブロイド判の週刊英字新聞の記事です。
執筆者の名前も覚えていませんが、
有名な作家やジャーナリストではありません。
米国かどこかの出身で、
日本の英字新聞に寄稿している
英語が母語のライターでした。
その人は、
学生時代に文章を書くとき、
シソーラスで見つけた単語を使っていたけれど、
私が読んだ記事を書いた時点では、
そういうことをやめていたというのです。
どうやらシソーラスを使っても、
上手な英語の文章を書く上であまりメリットは無さそうというニュアンスでした。
それで私も、
シソーラスによる単語の勉強はせず、
読めそうな英語の本を探して読むことに時間をかける様になりました。
(英英辞典を使える様になるのは、
その8ヶ月ぐらい先です。)

その後10年以上、
洋書や洋雑誌で英語の読書に励みましたが、
その中でシソーラスの利点や活用法などを書いた記事には出会いませんでした。
ときどき取り出して眺めたりはしていましたが、
どう活用したら良いのかは、
見当がつかないままでした。

その後に気がついたのは、
シソーラスにも定番のブランドがあることでした。
ロジェ (Roget) です。
大きな本屋の洋書売り場で辞書のコーナーを見ると、
Roget's Thesaurus という書名を見かけることが多かったのです。
(私が買ったペーパーバックはロジェではなく、
もっと常識的な書名でした。)

旺文社の英検対策本では、
語彙増強のために "Roger's Thesaurus" という本を勧めていましたが、
これは単なる誤植だろうと思います。

その後、
1992年だと思いますが、
定期購読していた週刊誌 Time に、
Roget の増補改訂版の詳しい書評が載りました。
新しい版の書評ということですが、
その内容について印象に残ったのは、
このシソーラスを最初に編纂執筆した人物であるピーター・マーク・ロジェ (Peter Mark Roget) に関する説明でした。
その頃の私は東京から地方に引っ越して定職に就いていましたが、
独身でお金もあったので、
毎月1回は東京まで行って、
洋書をまとめ買いしており、
この新しいハードカヴァー版も見つけて買いました。
Roget's International Thesaurus の第5版です。
この辞書の前書きで、
最初の編著者について更に詳しく買いてあったので、
それも読みました。
苗字はフランス系ですが、
出身地はスコットランドで、
本職は医者です。
生まれた時代は18世紀末で、
同義語辞典を編纂したのは19世紀です。

シソーラスの中身ついて買いておきましょう。
本体に当たるのは何十万もの英単語の一覧で、
概念別に分類してあります。
概念には番号が付いており、
全部で1070余りになります。

末尾には総索引 (Index) が付いており、
こちらは単語が ABC 順に並んでいます。
一つ一つの単語を引くと、
概念の番号が記してあるので、
そこから概念の方を参照せよというわけです。

一つ一つの単語について、
発音・定義・用法などの説明は殆ど無いです。
このシソーラスという書物自体が、
英単語を分類した表に過ぎないのかもしれません。

その後、
OED 第2版や様々な辞書と一緒に、
この辞書を仕事場の本棚に置き、
年に1回ぐらいは眺めたりしていました。
その結果として考えるようになったことを書きます。

英単語が何十万あっても、
単語によって示される意味は、
千あまりに分類できる。

勿論、
微妙なニュアンスや、
言葉の響き、
使いかたの違いなどに注目すれば、
いくらでも細かくできるでしょう。

とにかく、
英単語の数だけ意味があるわけでもないし、
それに対応するだけ日本語の単語があるわけでもないのです。
19世紀からずっと、
英語のシソーラスが出版されている事実を鑑みれば、
単語によって示される概念の数は、
意外に少ないと考えても良さそうです。
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プロフィール

Ryotasan

Author:Ryotasan
今は英語関係の仕事をしていますが、高校時代、英語の成績はクラスで最低でした。英語の多読は1978年からしています。海外経験は短期間の旅行を何度かしただけです。留学したことは無いです。ずっと日本で英語をやってきました。最近、フランス語の多読もしています。

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