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ボクのボキャビル体験記

(2014-05-28)
頭の中に英語の辞書があったら、
英文を読んでいて難しい単語に出会っても、
その辞書を引けばいい。
そういう状態を夢見て、
私も英語の語彙増強 (ヴォキャブラリー・ビルディング) をしたことがあります。

基本的な単語を日本語の訳語と結びつけて暗記する方法ではなく、
語源の知識に基づいて理解する方法です。

今回はその時の経緯を思い出して書いてみます。
失敗談の部分も正直に書きますから、
そういうのをお望みでないかたは、
ここから先を読まないで下さい。

時期は80年代です。
私は何度目かの大学院受験を1ヶ月ほど後に控え、
その準備として語彙力をつけようと考えました。

「使用前」と言うか、
この語彙増強を始[め]る前の私が、
どの程度の英語を習得していたのかを、
最初に示しておきます。

英検や TOEIC などは受けていなかったので、
数字などであらわすことはできませんが、
それまで私がどのように英語を学んでいたか、
書いてみます。
精読と多読の両方についてです。

精読もしたことはあるんです。
私が大学で受講した専門科目の殆どは、
英文を読む授業でしたから、
そのための予習として、
英英辞典を引いたり、
固有名詞を英語の百科事典で調べる様なことはしていました。
授業であてられても困らないよう、
テキストを読みました。
ただし、
そういう授業の殆どは読んで訳す方式ですから、
進行は非常にゆっくりで、
読んだ量もわずかですし、
辞書を引いて覚えた単語の数も少なかったと思います。

そのころ自分の部屋にあって、
予習のために使っていた英英辞典は、
ランダムハウス社から出ていた1巻本の大型英英辞典 (The Random House Dictionary of the English Language, Unabridged) と、
2巻本のオックフォード英語辞典 (Shorter Oxford English Dictionary)、通称 SOD です。
SOD は、
当時13巻あった Oxford English Dictionary を2巻にダイジェストした辞書で、
単語の解説は時代順になっており、
語源の解説も他の1巻本の辞書よりは詳しく、
実際に使われた例文も載っていました。

多読についても書いておきます。
今の様に洗練された方法ではありませんが、
私は毎日洋書を訳さずに読んでいました。
そちらは辞書も殆ど引きませんでした。
今でも流行作家のペーパーバックで見かける様な、
日本で言う新書と同じサイズの洋書が当時はもっと多く、
そういう中から自分でも読めそうな本を探し、
1日100頁を目標にして読んでいました。
そういう目標を達成するために、
易しい本を探すこともしていました。
(それでも易しい英語の大切さは認識していませんでした。)

文学史の授業で採り上げる様な古典的作品を読む時は、
米国の学生むけガイドとして作られた小冊子を参考にしました。

1日100頁という目標を達成できない日もありましたが、
休暇中にはもっと読んだので、
平均すれば、
1日100頁以上読んでいたと思います。

(ここまで私が書いて来た学習法は、
ちょっと年をとった予備校生・大学生として、
色々な方法を試してみて、
自分に合いそうな方法を組み合わせて来た結果に過ぎず、
万人むけの方法として薦めているわけではありません。)

それでは、
いよいよ本題に入りましょう。
語彙増強のために私が選んだ教材は、
30 Days to a More Powerful Vocaburary
Word Power Made Easy です。
どちらも英語ネイティヴの大人むけだと思います。
さきほど話題にした
新書サイズのペーパーバックですが、
岩波新書などに比べればかなり厚いです。







どちらも系統的な語源の解説とワークブックの組み合わせによって成り立っています。
さまざまな英単語の由来を、
ギリシア語やラテン語との関連で解説し、
著者が重要と考える単語については実際に書いて練習できるようになっています。
30 Days to a More Powerful Vocabulary (Wilfred Funk and Norman Lewis) は日割り式になっているので、
とにかくこれを1日ずつこなし、
時間が余ったら Word Power Made Easy (Norman Lewis) をできる範囲でやることにしました。
2册を並行して勉強すれば相乗効果も得られるかなと思っていました。

どちらの本にも著者としてノーマン・ルイスという人の名前が示されていますが、
そのことを意識して選んだわけではありません。

実施にあたり、
空欄に単語を書き込む様な課題は真面目に書き込みながら進みました。
やってみると、
私には難しすぎず、
語源の解説も面白く、
快調に進みました。
日本語の訳語と対応させる丸暗記に比べれば、
こちらの方が遥かに楽しかったです。
朝から晩までこの2册に取り組まなくても大丈夫でした。
何十年も前のことなので私の記憶が曖昧になっている可能性もありますが、
予定の30日より少し早くこの2冊をやり終えた様に記憶しています。

「使用後」について書きますね。

この2册をやり終えた直後、
当初の目的だった大学院の入学試験を受けましたが、
この2册で覚えた単語は全く出ませんでした。
それでも試験には受かりました。

やり終えて、
英単語の4分の1がもともと英語にあったゲルマン系の語彙、
2分の1がフランス語やラテン語から入って来たラテン系の語彙、
のこり4分の1がギリシア系の語彙であることを知り、
数百の英単語を覚えたはずですが、
それで私の英語にどういう変化があったかを確認するには、
何年もかかりました。

効果を認識しやすかったのは医学用語です。
30 Days の方には、
日本語で言う「皮膚科」とか「眼科」の様な
医療機関で使われる部門の用語をまとめて学習する章があり、
ここで覚えた単語は、
英語で雑誌や新聞などを読むときに出会うし、
単語自体はギリシア語起源で難しそうな形をしているので、
それが分かるのは助かりました。

"Procrastinate" や "procrastination" という単語についても覚えています。
この単語は両方の本に出ていたと思います。
新聞や雑誌で生活の知恵の様な記事を読んでいて、
何度もこの単語に出あいました。

この長い単語は、
強く発音する箇所が "proCRAStinate" と "procrastiNAtion" なので、
会話で使いこなすには熟練が必要です。

ただし、
自分で英語を話したり書いたりするときには、
同じ意味の "put off" や "delay" を使えば言いたいことは伝わります。

さて、
ここから後は主に失敗談になるので、
本当に読んでみたい人だけご覧下さい。

私にとって決して大変な行程ではありませんでしたが、
ネイティヴむけの分厚い語彙増強本を2冊やったわけですから、
はっきりした効果を私も期待しました。

具体的に言えば、
このブログ記事で最初に書いた様な状態です。
英語の文章を読んでいて、
覚えた単語に出会うことです。
本や雑誌を読んでいて、
覚えた単語に何度も出あえば、
そういう単語は長期的な記憶に残るはずです。

この2册で学んだ単語には、
前から知っていた単語もそれなりにありました。
そういう単語は使用頻度も高いらしく、
この後も英語の本や雑誌を読んでいて、
何度も出あいました。
でも、
このときの語彙増強で新しく覚えたわけではありません。
再確認しただけです。
英語の読書をしていてこういう単語に再開しても、
語彙増強自体の効果とは言い難いです。

問題は、
この2册を通して新しく覚えた単語に、
その後の読書でどれくらい出会ったかです。

実際のところ、
Word Power Made Easy でも、
単語の記憶を維持するために、
米国で高学歴の人を対象にした雑誌を読むことを薦めています。
その中で日本の学生に定期購読が可能なのは TimeNewsweek だけでした。
Time の方が英語は難しそうなので、
私はこの雑誌の定期購読も始めました。

でも、
この2册で新しく覚えた単語には、
滅多に出会いませんでした。
Time を1号読んで1語でも出会えば幸運な方で、
すみからすみまで読んでも1語も出会わないという週も数多くありました。
この雑誌自体は面白かったので、
広告以外は全ての記事を読み、
それを毎週、
10年以上つづけましたが、
2冊の本で覚えた単語、
特に Word Power Made Easy で覚えた単語に出会う確率は、
1冊あたり1語以下でした。

大学院生になって奨学金も貸与されたので、
授業でも授業以外でも英語を読みまくりましたが、
この2册で新しく覚えた単語、
特に書いて覚えた単語には、
医学用語と "procrastinate" 以外、
滅多に出会いませんでした。
院生として難しい英語の本も読みましたが、
400頁の原書を読んで1語でも出会えばいい方でした。

もっと難しい本を読めば難しい単語に出会うだろうと考え、
『種の起源』 (ダーウィン) や『白鯨』 (メルヴィル) などの原書も読みましたが、
それでも覚えた単語には滅多に出会わなかったし、
それ以外に私の知らない難しい単語も数多く出て来ました。
なので、
本当に難しい本は、
この2册を終えた私にもやはり難しかったのです。
そういうわけで、
私が実践した語彙増強で、
もともと私が期待していた効果は得られませんでした。

「作文で使えば」と考えるかたもいそうなので、
ここで英作文の語彙に付いても少し書いておきます。
私が勉強した2冊の本では、
何百もの高度な語彙を易しい英語で体系的に解説してありました。
(少なくともネイティヴの大人から見れば易しい英語であり、
私にとってもそれほど難しい解説ではありませんでした。)
ということは、
そこで覚えた高度な語彙を使わなくても、
すでに知っていた易しい語彙で言いたいことを全て説明することは可能なのです。
文脈にもよりますが、
"Vocabulary" という高度な単語を使わなくても、
"word power" と表現すれば話は伝わるという場合もあるでしょう。

それから、
語彙増強本で勉強したとはいえ、
実際の会話やまとまった読書の中で何度も具体例に出会っていない単語を、
作文で上手に使いこなせるかという問題もあります。
使ってみても、
その使い方が適切かどうか判断できるでしょうか?
英語を街にたとえるなら、
1度案内してもらっただけで、
自分の足で何度も歩いてみた経験の無い場所に外部の人を案内するようなものです。
(このあたり、
英語を話す人が周囲に沢山いる様な職場で働いている人や、
英語圏で暮らしている人なら、
当時の私と事情は違うでしょう。)

一方、
読書を通して何度も出あった単語なら、
英文を書くときにも比較的スムースに出て来るし、
そういう見慣れた単語を駆使して書いた方が、
表現としては楽だし確実です。

肯定的なことも書いておきましょう。
この時の語彙増強で理解したギリシア語やラテン語による語源の知識は、
見慣れない単語の意味を何となく推測する程度の役には立っています。
前もって勉強して知っている様に確実な単語の知識ではなく、
精読の助けとしては頼りないのですが、
多読でやる様になんとなく分かるという程度の推測には、
プラスになっています。
そういう意味で、
語源の知識が多読の補助にはなったのです。

今回の記事を参考に、
語彙増強は多読の補助程度と割り切る人もいるでしょうし、
教材や方法を工夫してもっと上手に語彙増強をする人が出て来る可能性もあります。
みなさんそれぞれが決めれば良いことです。
どちらへ進むにせよ、
私の体験談が役に立てば幸いです。

ノーマン・ルイスによる英語ネイティヴ向けの語彙増強本2冊は、
実用より趣味や教養、
そして多読の補助に適しています。
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tag : 英語 多読 語彙 語源



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プロフィール

Ryotasan

Author:Ryotasan
今は英語関係の仕事をしていますが、高校時代、英語の成績はクラスで最低でした。英語の多読は1978年からしています。海外経験は短期間の旅行を何度かしただけです。留学したことは無いです。ずっと日本で英語をやってきました。最近、フランス語の多読もしています。

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